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SP-TDC電源不良の原因

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以前記事にした出先でSP-TDCが急に動作しなくなるという事例ですが、
ひとつの原因がわかりましたので報告いたします。
 
今回、現象が起きている3名の方のうちおひとりがはっきりした現象が再現できたということで
SP-TDC本体とハーネスをお送り頂いて検証・修理しました。
 
なお、そのオーナーさんには記事を書くことは了解頂いています。
 
さて今回、再現できたはっきりした現象というのは、出先ではなくエンジンをかけようとしたときに
かからず、その際SP-TDCのコントローラーの液晶は消灯、イグニッションコイルへの電源線にも12Vは
きていないということです。
 
ようは、現象が起きた時にはSP-TDCは全く動作していないということです。
その後、一切の操作をせずそのまま放置したらSP-TDCの電源が入り普通にエンジンがかかったとのことです。
 
ということで、本体&ハーネスを送って頂きました。
 
当初聞いていた内容とは若干現象が違うので、なんかイヤな予感がします(^_^;)
 
液晶の電源も入っていない、イグニッションコイルにも12Vが供給されていない、となると
先回の記事のように、SP-TDCの内部部品として関係があるのはリレーと基板パターンのみです。
正直、それは非常に考えにくいですが、お客さんにSP-TDC本体しか考えられないと言われた以上は
疑う余地もありません。
 
ただ、こちらの責任問題だけ考えれば言われたとおりにリレーだけ交換してあとはしらないとなるわけですが
そんなことをしてもこっちに責任がないと言うだけで、直らなければそんなことはなんの意味もないです。
 
当然お客さんは嫌がりますが、無理をいってハーネスも送っていただきました。
 
まずは問題のリレーがこちら。
外観上は特に問題はみられませんし、裏面の基板パターンにも何ら損傷はみられません。
 
基板から外しテスター等で検査しましたが、これも異常はみられません。
ただ、原因があるとすればここしかないのでリレーは予防交換します。
 
はぁ~ orz 
これはどうやらイヤな予感的中のようですね orz
 
ハーネスかぁ。
 
まず、メインキーに連動する白線です。
 
うっ、これは・・・(^_^;)
 
動画に撮ってみたので、よくみてみてください。
ピーっという音は導通してるときのテスターの音です。
線を引っ張ったりグニュグニュしたりするときより、不意になんもしてないと思えるときのほうが
音が途切れます。
このあと、あっさり抜けてしまいました。
 
イモハンダとは、こういうものです。
キーオンするとこの白線に12Vが流れ、リレーが駆動されSP-TDCに電源が入ります。
それと同時にイグニッションコイルにも12Vを供給します。
 
白線がこの状態だと、まさに今回の現象になります。
 
ご覧のようにはっきりと線を抜き差しするときは意外と接触は切れませんが、
え? 今どっか動かした? ってときに接触がきれます。
 
これが実際のバイクでは、車体を揺さぶったりしてもなんともなくて、逆に何もしてないときに切れるとなるわけです。
本当に微妙な接触だから、温度変化とか全然関係ないところを動かしたときとかによく切れるんです。
だから、すんごく再現性のない不可解な現象になります。
 
他にも何カ所か接触はしてるもののハンダが乗っていないところがあったので
お客さんの了解をもらって、ハーネスは作り直させてもらいました。

全体にはとても丁寧に作ってあるハーネスなので、出来る限り同じになるように作りました。
 
これでもう安心して乗れる状態になると思いますし、万が一また同じ現象が出ても
今度は本体、ハーネスとも全てこちらで制作したものなので全てこちらの責任です。
 
 
さて・・・
 
ハーネスに原因があるというのは実は一番多いトラブルです。
 
てことで、ちょっと実験してみました。
 
意図的にイモハンダにするのも難しいものがありますが、なんとかやってみました。
わかります?! 上がイモで、下がちゃんとくっついてるハンダです。
 
意図的にイモにするのは難しくても、イモは不意にやってきます。
お客さんにしてみればハンダ付けなんてそうそうやるもんじゃないから、慣れなくてよくこうなります。
 
また、うちら業者は何千回、何万回とハンダ付けするから慣れちゃってたまにイモになります。
 
ようするに素人であれプロであれ、誰がやってもイモはイモです。
 
動画も撮ってみました。
こんなふうにイモハンダは配線にはからんでないのでアッサリ抜けますし、
ちゃんとついたハンダはそこから抜けることはなく、配線がぶっちぎれます。
 
抜けてくれればハッキリしていいんですが、イモがまずいのは今回みたいに微妙な接触になることです。
イモハンダは最初は接触してても時間が経過すれば必ずこうなります。
 
結線の仕方は色々ありますし、みなさんそれぞれこうでなければという方法があると思います。
でも、どの方法をとっても線を繋ぐ以上は完璧な方法なんて無いんです。
 
問題なのは、こうやったから大丈夫なんだっていう過信です。
この方法だから大丈夫じゃなくて、繋がってるか確認したから大丈夫です。
大事なのは過信しないことと確認です。
これは配線に限らず車の運転だってなんだって同じことですよね。
「だろう運転」じゃなく「かもしれない運転」ってやつです。
 
 
それからもうひとつ。
 
ハーネスに原因があったとは言ってますが、お客さんに原因があったとは一言もいってませんし
思ってもいません。
 
どっちが悪かったかなんてくだらない、悪いところはどこなのかが大事なんです。
 
バイク動かなきゃなんにもならないですよね。
そのためには原因はどこにあるのか追求しなきゃなんないんであって、誰が悪いかじゃないです。
 
もう待たせちゃってんのはこっちだから言えたもんじゃないですが、
誰が悪いかなんていってると時間ばっかりかかっちゃってみんなに迷惑かけてしまうんです。
 
もっと仲良くしてスムーズに原因を究明して楽しくバイクを動かすって出来ないもんでしょうかね。
 
だからお客さんのバッシングや、客のせいにしてんじゃねぇよっていうバッシング、
そういうくだらないことは絶対にしないでください。
 
ってことで、配線トラブルとはこういうもんですっていうお話でした。
 
最後は大きなグチになってしまいましたすみません(^^ゞ